おもいつき
 
いきあたりばったりに。 日常とか
 



日曜は練馬まで出て行ってニケ夫妻と映画鑑賞。
なんでわざわざ練馬かっていうと、ワーナーマイカルシネマズの映画館で中間点あたりの手頃な位置にあるのがここだけだったため。
ここのポップコーンがバターフレーバーオイルどばどばかけてあって美味しいんですよ。手ヌルヌルになるけど。
写真がマイカルのポップコーンのL。外見としてはほぼバケツ。

ということで池袋で西武線に乗り換えて集合時間前に練馬到着。ニケ夫妻からも駅に着いたってメールが来てるし、さて、と。

…東武練馬? 練馬には東部と西部がありますか? 練馬の分際で?←失礼
しかも東武練馬と練馬って近くもなんともないじゃないか。同じ名前使うな。あとからできた方の駅の命名責任者を拘束して大根の匣にみっしりと詰めておしまい!

とりあえず仕方ないので一旦池袋まで戻って東武鉄道に乗り換え、東武練馬へ。

目的の映画は京極夏彦原作の魍魎の匣
何度か書いてる通りMayugeは京極夏彦作品はわりと好きでして、特に今回の魍魎の匣は京極堂シリーズでも最も面白かった作品だろうという評価が、Mayugeに京極夏彦を薦めてきた友人とも一致しています。
ちなみに学生時代、友人とその話をしていたところにニケも居合わせていて、そのまま「ちょっとあらすじ説明してください」と、さらっと無茶な注文をつけられました。



知らない方のために資料を載せますと、魍魎の匣の単行本はこんな感じの厚さになります。手前はつまようじ入れ。京極夏彦は通称「弁当箱作家」と言われています。

あらすじの説明に3~4時間かかりました(したのかよ)。

その後ニケも京極夏彦作品を片っ端から持ち出しては読んでいき、代表的なところは読破してたはずです。一番のお気に入りが「どすこい」なのはどうかと思うが。


それはさておき映画の感想。

単品での観賞用映画としての評価は、個人的には前作の「姑獲鳥の夏」より上。
姑獲鳥の夏も映像の綺麗さとか、小説中の色々な舞台がこういう風景なのか、という感じで眺めるうえでは嫌いではないんですけどね。

公開中の映画のネタバレをするわけにもいかないので具体的には書けませんが、話の筋はけっこう変わっています。
かなり大胆にエピソードを削ぎ落としてあるため、事件の流れや相関関係、人物の行動原理などもそれに合わせて変化しています。
必然的に事件の仕組みや動機は「わかりやすく」、関係する人間の背後は「浅く」なってしまっていて、『事件に関係したそれぞれの人物の思惑や事情、偶然や必然が複雑に絡み合った結果、全体として奇怪な容貌の事件が姿を成す』という、京極堂シリーズの持ち味が薄れてしまっているのはやや残念なところ。簡略化されたストーリーは原作ファンには賛否が分かれるところでしょうけど、あの厚さの小説を2時間に収めるのがそもそも無謀なので、このへんはいたしかたないかと。正直、原作の情報量は映像で伝えられる限界を超えています。

印象としては、2時間の枠に収めるために原作ストーリーをそのまま省略しつつ駆け足で流すのではなく、物語を各パーツごとに一旦バラバラにし、取捨選択したあとに新たなシナリオに従って組み直してる感じです。なので場面場面は確かに魍魎の匣なんですが、エピソードが前後していたり、因果関係が変わっていたりしていて、原作を読んでる人に対してもちゃんと「秘密の開示」がある作りになっています。

もっとも、原作では謎を謎たらしめていた要素が謎では無くなっていたりする都合上、えらい序盤であっさり「え、それもう言っちゃって大丈夫?」的に語られてしまう部分がいくつもあり、原作を知ってる人が見ると別の意味でハラハラさせられる作りですが。
あと、一部の出来事に根本的なとこで必然性がなくなっちゃってる気が。
さすがに、あらゆる出来事に必然と理屈と因縁がみっしりと詰まっていた原作に比べると薄味な印象は否めません。

しかしこの再構築のおかげで、原作を読んでいない人でもちゃんとついてくることのできる映画になっていると思います。今回、同行者の中でニケ旦那は原作未読のままの鑑賞となったんですが、おおむね好評だったようです。独立した一つの商品である以上、原作読まないと理解できない映画では意味がないですし、やはりこのくらいの密度が手の打ち所でしょうか。

私としては原作のラストシーンの関口の述懐が好きななので、〆があの一文じゃなかったのはやや残念。しかし映画のラストシーンも間違いなく魍魎の匣。むしろ「これをラストに持ってきたか」って感じですな。こちらはむしろ映像作品だからこそ可能だったとも言えるでしょう。

映画を見た後に残る荒涼とした清々しさのようなもの(ニケは小説・映画ともに「後味が悪い」と言ってますが)は明らかに魍魎の匣の読後感と同種のもので、この点だけでも私としてはこの映画は間違いなく「魍魎の匣」だと思います。
映画版オリジナルのシーンでの京極堂と関口のやりとりも、京極堂の小馬鹿にしたような口調は見事に違和感なく京極堂のものでした。

全体的に京極堂が動きすぎ、榎木津が常識人すぎな感じは否めませんが。

あと、映画館の売店で売ってる映画関連グッズの中に、作中に出てくる雑誌「實録犯罪」の表紙を模したメモ帳というネタグッズがあったんですが、その表紙に書かれた特集記事が「兵役忌避者猟奇殺人事件の真実!」とかそんな感じになっていて、さりげなく次作、「狂骨の夢」にリンクしてました。



そして映画開始前、ポップコーンを3人でもさもさ食べてたらバケツいっぱいあったのが上映開始前にはほぼ空に。
美味ぇ。



2008年1月8日(火)22:13 | トラックバック(0) | コメント(0) | 徒然(日記) | 管理

コメントを書く
題 名
内 容
投稿者
URL
メール
添付画像
オプション
スマイル文字の自動変換
プレビュー

確認コード    
画像と同じ内容を半角英数字で入力してください。
読みにくい場合はページをリロードしてください。
         
コメントはありません。


(1/1ページ)