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項羽の子孫(自称)が政府転覆を画策

昨年の秋頃にこんな愉快なニュースが出てたらしいのに見逃してました。

『虞や虞や汝を如何せん』で有名な項羽の子孫だというオッサンが、クリーニング屋を経営する傍ら副業で覇王を目指し、頓挫したようです(2200年ぶり2回目)。
「影の軍団」という結社名がなんともいえずいい味を醸し出してます。原文ではどんな感じの単語だったんですかね。
まあ13億人も在庫を抱えていれば多少はおかしなのが混じってるのも仕方がないかと思ったら、有機化学者も引き込んでTNT火薬の製造まで着手していたとのことで思ったより本格派。
TNT火薬を合成すればこのクリーニング屋が買い取ってくれるという話に乗り、化学工場を無断欠勤してみたらクビになったという経歴を持つ張さんが頑張ってた様子。



張容疑者は以前務めていた化学製品工場に忍び込んで原材料や設備を調達。自宅で実験を繰り返し、「実験結果にはとても満足した」と語っている。
張容疑者方のトイレからは爆薬に混ぜて利用する有機化合物「ニジトロトルエン」が検出され、爆薬の調合方法などが記された大量のメモや雷管の原材料なども見つかった。


該当記事より抜粋


ニジトロトルエンって爆発物が二次創作物みたいになってんじゃねぇか。
たぶんニトロトルエンの間違いじゃないんですかね。

ジニトロトルエンはTNT(トリニトロトルエン)と基本骨格が同じでニトロ基が一個少ないだけの化合物。まあいいところまでできてるかなという風に見えます。
で、この物質名、大学の授業でチラッと出てきた気がします。たしか有機合成系の授業中の雑談でTNT火薬の合成手順の話が出て、具体的な部分は省きますが合成には使えない経路の生成物として。
‥‥失敗じゃね?

記事中には「爆発物や火薬の原料など約50キロあまりが押収された」とありますが、この記事のネタ元はゴシップなどではなく国営新華社通信の大本営発表とのこと。もし容疑者がTNTそのものの合成に成功してたのならそれを押収したことが成果として華々しく発表されるでしょうから、おそらくジニトロトルエンを検出できたというのが唯一のそれらしい成果だったのではないかと思われます。

この辺を考えるとこの人、何も作れてなかったんじゃないですかね。
Wikipediaにも書いてある程度の材料で言うと硫酸、硝酸、トルエンあたりを一斗缶サイズのポリタンクでで1本ずつ工場から盗んできたとしたら、これでおそらく「爆発物の原料50kg」達成ですし。

で、容疑者、取り調べ中に死んだらしいです。急激に進行したガンで。
あまり発がん性物質とか関わってきそうな反応系ではないですけどね。 肝臓か腎臓系の病気ってことにしておけばもうちょっと本当っぽいのに 

この他はなんか項羽の子孫(自称)の主張をネットで見て社会に不満がある有象無象が集まってたとのことで、受ける印象はどちらかといえば『項羽と劉邦』というよりなんとなくダメな臭いのする梁山泊。
続報があんま出てこないんですがこの後どうなったんですかね。

なんか突っ込みどころが多い上にちょっと懐かしい授業の内容を思い出させてくれたので遅れ気味ながら収録。

写真は日曜の陽気で咲いてた元三島神社の桜。



2016年2月16日(火)21:01 | トラックバック(0) | コメント(0) | 雑感(ニュース感想等) | 管理


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