おもいつき
 
いきあたりばったりに。 日常とか
 


2014年3月31日を表示

革パスケース作成

土地柄あまり電車を使わない生活をしてることもあってMayugeは今までSuicaを財布に入れっぱなしにしてまして、改札通るときも毎回財布をかざしてました。で、出かけた折に同じように財布でSuica使ってるらしい人が改札前で小銭を盛大に撒き散らしてるのを見てその危険性を認識しまして。なんか気に入るパスケースでもあれば買ってみようと思い、もののついでなどにちょこちょこ眺め始めたのが1年ほど前。
しかしどうせなら財布を無駄に分厚くしてる職場のカードキーだの使用頻度低めのポイントカードだのバスの回数券だのもそっちに移したいとか考え始め、ちょっと収納力大きめでできるだけ薄くて色とか好みのもの‥‥とか注文を付け始めるとなかなか「これだ!」という物に逢えないのが実際のところ。
で、ちょうどスマホケース作ってみて気をよくしてるところで思いつき、例によって好みの物がないなら作りなさいの精神発動。

財布とかパスケースはレザークラフトの定番品なため、最初に買った入門書やサイトなどを見ると作り方の情報は色々と手に入ります。
スマホケースはわりと思いついてすぐに突っ走ったため、情報収集はあまりやらずに手を付けてしまい、むしろ今回初めてレザークラフトについて具体的に検索してみた感じ。

どうでもいいことですが今回作成のためにSuicaを財布から引っ張り出してみて、IOカードという単語をそうとう久しぶりに目にしました。



ということで写真上段、脳内で色々練っていった結果、だいたいこんなもんだろうと考えがまとまってきた辺りでパーツの齟齬を確認するために概要図を手描き。やっぱり脳内設計図をこうやって図にしてみたら省略できる部分が見つかったり、物理的に縫えない構造が見つかったりするため、改変部分をまとめてちょいちょいと何度か修正。
真面目にレザークラフトをやってる方々の型紙などを見るとポケットなどもすべて革の組み合わせで作るのがセオリーっぽいですが、実際に持ってる財布などよく見てみるとポケットの内側なんかは布を使って厚みを抑えてあったりします。革を重ねるとあっという間に厚みが増えていくんですよね。Mayuge的にはべつにレザークラフトを極めたいわけじゃないし、正道とか邪道とか気にしないので布ポケットを採用することに。

で、さらに今回パスケースを作るにあたって下調べがてら色々検索して回ったところ、フリーのCADソフトを使って型紙を作る方法が紹介されてるのを見かけまして。Mayuge的には今までCADとか敷居が高いイメージだったんですが、ちょっと便利そうだったのでせっかくフリーだしとAR CADを導入してみました。やってみたらこのくらいの作業ならPower pointで図を描くのに毛が生えた程度。ぴったり大きさが合った図がどんどん量産できるんだから使わない手はありませんな。幅の揃った部品とか同じ形で数mmだけ大きい部品とか左右が反転した部品とか色々必要になるため、やっぱり手描きで型紙作るのとは雲泥の差。あと試行錯誤もしやすいですし。個人的には今回の作成で一番の収穫かも。

ということで図面と脳内作業工程もまとまってきたので作業開始。下段写真がCADからプリントアウトして切り抜いた型紙と切り出し終わった革。
なんか革細工の各工程をどの順でやっていくのが正しいのかいまいち分からないんですが、今回は切り出し→染色→染料止め加工→床面仕上げ→溝彫り→接着→手縫い→コバ面仕上げ→加工で剥げた部分の再染色・染料止め、と進めてみました。本とか見てると染色したあとの革をガンガン切ったり彫ったり削ったりして、その後の処理について特に何も触れてないんですが、切削面から出てくる地色どうしてるんですかね。中まで染まってる革前提なんでしょうか。表面しか染まらないMayugeのやり方が染色として何か根本的に間違ってるんでしょうか。
素人の我流だと地味な部分に色々疑問が。



スマホケースはヌメ革の生成りで仕上げましたが今回はまず染色から。デジカメの革カバー計画のために染料は買ってあったので、これに考えてた焦げ茶→赤茶のグラデーションの練習がてら。使用したのは水性染料のローパス バチックの茶色と赤と黒。アルコール染料と悩んだんですが、まあ扱いが手軽な水性染料でいいかと。
水を含ませた革の表面に赤茶色を塗りたくり、深みのある感じになってくるまで重ね塗りを延々と繰り返します。染料の液体はかなり鮮やかな濃い色をしてるんですが、一回一回の塗装では拍子抜けするくらい革には色が付かないですね。写真上段はだいたい納得いく色まで染まってきた辺り。
作業中、何回塗っても色ムラが消えない場所があると思ったら、革の裏側まで水が染み込んでるか染み込んでないかの地色の濃さの違いが透けて見えてるだけでした。乾いたら同じ色に。紛らわしいのでそれ以降は全体を裏までしっかり水浸しにしてから染色しました。

あとスマホケースを作った際に「キノコモチーフが無いなんてMayugeじゃない」とのコメントをいただいたのでキノコ。
刻印を打ち込むのはレザークラフトの定番ですが、以前に購入した亜鉛スタンプがこれに使えるんじゃないかとふと思いまして。金属部分薄いし打ち付けるのはちょっと不安だったので、軽く湿らせた革にハンコをクランプで押しつけて一晩放置。おおむね期待通りに仕上がりました。
写真下段左側がクランプで型押し中の様子。

表面の処理が終わったら革を乾かして表面にレザーフィックスを塗り、染料を固定します。表面にツヤが出て一気にそれっぽく。
さらに乾燥させた後裏側の床面処理。あ、ここ写真撮り忘れて一気にやっちゃってる。
教本的にはこの床面処理を最初にやることになってたんですが、なんとなくそうするとうっかり銀面に付けちゃったトコノールでその場所だけ染色されず、斑が残るという失敗をやりそうな気がしたので今回は染色の後にしてみました。
床面にトコノール塗って裏返しの革をガラス板でゴリゴリこすって処理してたら、革の切れ端が下敷きになってて革の表面に凹み目ができました。失敗orz。
パーツを縫い合わせたら見えなくなる場所だしまあいいか。作業場は綺麗にしながら使いましょう。

さらに下調べの時点で必要かどうかも分からないままステッチンググルーバーを買ってしまったため、無理矢理活用するために縫い溝を掘ってみました。工具の中では値段が高い方なので買ったからには使わないと。
あと接着する部分は表面がザラザラの方が接着剤の食いつきが良いため、接着予定部分をカッターの刃でゴリゴリやって表面を荒らします。ここまで終わった状態が写真下段右側。
染色したところに溝を彫ると染色できてない下地が出てきて非常に目立つため、結局あとからここを染め直すハメになりました。順番失敗した。けど本に書いてある行程は染めた後に溝彫りなんですよねぇ。まあどうせコバ面の仕上げは最後にやらないといけませんし、そこに色付けるついでにやればいいからたいした問題ではないのかもしれませんが。



ポケットは最初普通に布を考えてまして、以前に魔女三輪車デコったときに余ったナイロンの布でも使おうかと思ってたんですが、実際作業してみると布ってけっこう伸び縮みして歪んだりするため切り出しに苦戦。あと薄手のナイロン生地でも折りたたんで重なってくるとけっこうな厚みが出てきます。
そうこうしてるうちに「べつに重い物入れるわけじゃないしもっと手軽な素材でも問題なくね?」という気がしてきて頭に浮かんだのが不織布。具体的なイメージとしてはCD-ROM袋の裏地部分のアレ。エコバッグとかであの素材のやつがたしかあった気がすると思ってダイソーを見に行った結果、不織布のラッピング用紙を発見。材料をこれに切り替えました。
ということで写真上段中段、図面に合わせて不織布を切り抜き、ボンドで貼り合わせたあと縫って補強。縫うか貼るかどちらかでもいいような気はしますがまあ念のため。これを図面通りに革にボンドで貼り付け、革を縫う際に一緒に縫い込みました。
手順的にはまず内側の革の裏に不織布でできたポケットを下の段から順に縫い付け、すべて縫い付け終わったら外側の皮と接着してクリップで固定して1日放置。このあと菱目打ちで穴を開けてあとはひたすら手縫いという感じで。この辺が写真下段。
高校生の頃に何となく買ったプラスチック製のオモチャみたいな万力が今回初めて本格的に役に立ちました。

ちなみに今回使用したボンドはウルトラ他用途S・U ソフト
革細工用に吟味したとかいうことではなく、しばらく前、ポロプロピレンも接着できるという売り文句に惹かれて特に使い道もないのに何となく購入してみてたのをこの機会に試しに使用。
様々な素材に使える、無色透明、接着後も柔軟性があるなどの点で色々使いやすそうな接着剤です。使い始めたとこなので接着力や耐久性については未知数。

不織布パーツは革パーツより0.5mmほど小さく切り抜いてあります。最終的に仕上げたとき、コバ面から挟まった不織布がサンドイッチの具みたいに見えてると目立ちそうだと思ったので。布だと線を引いたり切り抜いたりする度に微妙に伸び縮みして歪むため、この微調整が難しかったんですよね。不織布だと紙と同じような感覚で扱えるのでわりと簡単でした。

すべて縫い終わったら400番くらいの紙ヤスリを平らなところに置いてコバ面を平らに削り、染料を筆塗りして色を表面と合わせて染め直し。あとついでにステッチンググルーバーで掘った溝部分も染め直してレザーフィックス処理。
2度手間になるから今度から染めた革にステッチンググルーバー使うのやめよう。

染料が乾いたらコバ面にトコノールを塗って擦り、ツヤが出るまで磨いて完成。



ということで完成。

工夫ポイントとして3段あるポケットの切れ込みが1段ずつ微妙に左右にずらしてありまして、カードを入れると斜めに列んで後ろカードが何か分かりやすいようにしてみたんですが、ずらし具合が微妙すぎて効果がいまいちでした。次作るとしたらもう1mmほどズレを大きくした方がよさそうです。あと、せっかくならもう1、2mm大きく作っておけば名刺が余裕をもって入れられたことに完成してから気づきました。まあ今でも入らなくはないんですが、ちょっと出し入れに手間取るギリギリ感。
あとがんばってグラデーション付けて染めたんですが、カード類を入れると大部分が見えなくなります。

まあとりあえず好みな感じの色合いとグラデーションにできたのでひとまず満足です。
市販品では

 ・シンプルなデザイン
 ・赤茶色系のグラデーション
 ・リードとかチェーンが付けられるDカン
 ・2つ折りで内側に多めのポケット

という希望をすべて満たしてくれる商品がなかなか無かったための自作となりましたが、チャレンジしてみた甲斐はあったと思います。

あと、作業の感想として、革の断面の角を丸く削るための道具で彫刻刀の丸刀を裏返しにしたような縁落としという工具があるんですが、この作業、紙ヤスリじゃダメなんか?という疑問が。Mayugeは縁落としで削った後に結局紙ヤスリで整えたんですが。
いきなり買いそろえてしまう必要はなかったかも。



2014年3月31日(月)02:48 | トラックバック(0) | コメント(2) | 工作 | 管理


(1/1ページ)